有給の「時季変更権」
A「社長、4月5日は娘の誕生日なので有給を取らせていただきます。」
社長「え、困るよA君。4月のはじめは忙しいんだからさ。
娘の誕生日は5月5日にしてそこで有給をとってよ。」
このように、使用者は社員が申請した有給の時季ずらしたいことがあると思います。
労働基準法には「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」
とあり、使用者は「事業の正常な運営を妨げる場合」は有給の時季を変更できるということになります。
つまり、4月5日にAさんが有給を取ると「事業の正常な運営を妨げる場合」は別の日にしてもらうことができるし、「事業の正常な運営を妨げない場合」は有給の取得を拒否できないということになります。
事業の正常な運営を妨げるかどうかは一言で言うことができないので、認められたパターンを確認していきましょう。
認められたパターン①
忙しい時期に複数の従業員が有給を申請したために人員が足りなくなり、使用者が代替要員をどうしても用意できない場合。
単に忙しい時期というだけでは認められないようです。
認められたパターン②
研修・訓練などで本人が来ないと意味がなく、代わりの人では役割を果たせない場合。
長期にわたる研修・訓練は認められない可能性もあるので注意が必要です。
認められたパターン③
長い期間の有給を申請した場合。
事業所の現状、労働者の仕事内容、代行者の有無などから総合的に適切と判断されないと時季変更権は認められにくいようです。
有休の申請にはタイミングも大切と言えるでしょう。