出向に関するトラブル

就業規則事例

就業規則条文例
(人事異動)
第○条
会社は、業務上必要がある場合は、従業員の就業する場所又は従事する業務の変更を命ずることがある。

落とし穴
出向を規定する条項がない。
トラブル事例
中堅商社A社は、流通部門Z社を別会社として立ち上げることにした。従業員の大半は、新たに採用することにしたが、中核となる従業員は、A社の流通部門のBを軌道に乗せるまでの2年間出向させる計画である。ところが、Bは、Z社までの通勤時間が、今より1時間余分にかかることを理由に出向命令を拒否。今まで、出向させることなど予定になかったので、就業規則に出向を既定する条文ない。今のところ、他に出向させられそうな従業員は、見当たらないため、立ち上げ計画は、人員配置の段階で頓挫してしまった。
解説
出向には、在籍出向と転籍出向の2つがあります。このケースの場合は、在籍出向が前提です。原則として労働者本人の同意がなければ強制的に出向させることはできません。ただし、このような場合、必ずしもその都度、個別に労働者の同意を得る必要はなく、包括的な同意があれば出向させることが可能とされています。
つまり、このケースの場合も「会社は、業務の都合上、従業員に出向を命じることがある。出向期間中の労働条件等については、別途出向契約書を定める」という旨の規定があれば、特別の事情がなければ、従業員Bは出向命令を拒否できなかったことになります。
なお、出向契約書には、出向先、出向期間、出向先での労働条件、出向元への復帰に関する事項など、具体的な定めをしておく必要があります。
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