退職金に関するトラブル

就業規則事例

就業規則条文例
(退職金の支給)
第○条
勤続○年以上の従業員が退職し、又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、第○条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しない。

落とし穴
懲戒解雇に相当する事実が発覚するのを恐れて、自己都合退職した従業員に退職金を支払うことになる。
トラブル事例
A社の経理を長年担当していたBが、ある日突然、退職届を提出した。社長が、退職理由を聞くと年老いた両親の介護のためだという。一応納得した社長は、退職届を受理し、Bは、Cに引き継ぎを終えると退職した。引き継ぎしたCは、Bが退職して2週間ほど経過したある日、過去の経理上の不審な伝票を見つけ社長に報告、社長に調査を依頼され、調査を進めるうちにCは、Bが約500万円を不正な経理操作により、自分の口座に送金していたことをつきとめた。社長は、激怒し、幸いまだ退職金を支払っていなかったので、Bに連絡し、約600万円の退職金を支払わない旨を伝えた。これを聞いたBは、「就業規則には、懲戒解雇された者には、退職金の全部または、一部を支給しない」と明記されている。自己都合退職した自分の退職金が支払われないのは、不当だと反論し、法的手段に出ることを宣言した。
解説
退職後のトラブルは、労使トラブルで中でも最も多いものです。このようなトラブルを避けるには、たとえば「退職後、懲戒解雇事由に相当する事由を行ったことが明らかになった場合、退職金を支給しない。また、すでに支払った退職金は返還させる。」という規定を設ける必要があります。こうしておけば、仮に支払ってしまった後でも心配ありません。また、「懲戒解雇に相当する事由があったときには、退職金の全部または、一部を支給しない。」という規定でも構いません。単なる懲戒解雇と懲戒解雇に相当する事由というちょっとした表現の違いが、結果として雲泥の差となることに注意しましょう。
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