試用期間に関するトラブル

就業規則事例

就業規則条文例
(試用期間)
第○条
1.新たに採用した者については、採用の日から3か月間を試用期間とする。ただし、会社が適当と認めるときは、この期間を短縮し、又は設けないことがある。
2.試用期間中に従業員として不適格と認められた者は、解雇することがある。
3.試用期間は、勤続年数に通算する。

落とし穴
試用期間の延長を規定する条項がない。
トラブル事例
A社は、一級建築士であるBを雇い入れることになりました。ところが、Bは、入社後、7日目に交通事故にあってしまい入院しました。結局、2ヶ月半以上入院し、会社に出社してきた時は、試用期間は、残り4日しかありません。
これでは、Bの能力や適正を客観的に判断することができません。そのため、試用期間を延長しようとしたところ、Bが、「入社時にもらった就業規則には、
試用期間は3ヶ月と書いてあります。延長するのは、不当ではありませんか」となかなか納得してくれない。仕方なく、正規採用したところ、Bの協調性のない性格がだんだんと発覚。他の従業員とのトラブルが多発するようになった。
 いろいろトラブルがあった挙句、A社の社長は、最終的にBを解雇にしたが、解雇した後、Bは、「解雇の無効」を訴えて労政事務所に駆け込んだ。A社の社長は、労政事務所に何度も呼び出され、解決するまでの2ヶ月間、頭を痛める結果となった。
解説
試用期間は、原則として会社が一方的に延長することはできません。しかし、就業規則に延長できる旨の条項があれば、延長することもできます。その場合でも、Bさんにもう一度チャンスを与えるというような趣旨であれば、延長も認められやすいものです。
本件の場合も、もし延長条項があれば、試用期間中にBさんを不適確と判断し、正規採用する前に問題なく解雇することができました。
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